■講師 松井久子 氏(映画監督・プロデューサー)
■テーマ 『女性の力』

141108b松井久子さんは50歳から映画監督となり、3つの劇場映画「ユキエ」(1998年劇場公開作品)「折り梅」(2002年劇場公開作品)、「レオニー」(2010年劇場公開作品)、1本のドキュメンタリー作品「何を怖れる」(2015年春公開予定)をつくっているスゴイ人です。

47歳のときに第1作「ユキエ」の原作と出会い、劇場空間で鑑賞いただく「映画」をつくることを決意し、これまで経営していたTVドラマ制作会社の経営を離れ、一人になって企画書を書き、映画関係者にアプローチしたのです。
若者向けの娯楽作品が主流となっている日本映画業界人からは「社会問題に切り込む大人向けの企画」などビジネスにはならないと相手にされませんでした。
松井さんはあきらめることなく、3年かけて映画制作に必要なバジェット3億円を調達し、巨匠新藤兼人氏に脚本依頼を直談判しました。
さらに監督も依頼したところ、新藤氏からは思いもがけない言葉を聞くことになるのです。

141108c「俺が監督をしたら、あなたが思い描いた作品にはならない可能性があるんだよ。
そしたらあなたは一生後悔することになるよ。
苦労して集めた3億円。
あなたは3年間、この企画のことを考えつづけビジョンをもって行動してきたんだから(十分資格がある)、あなた自身で監督をしてみろ!」
その一言が、「映画監督」になる決断をさせたのです。

とはいえ、TVや映画などのメディア業界ではプロデューサー、監督はすべて男。
スタッフも徒弟制の男社会です。
日頃、TVドラマ制作の現場では「謙虚」になることで、女の自分の居場所をつくってきた松井さんが選んだのは、アメリカで第1作「ユキエ」をつくることでした。

この決断が、松井さんを一気に「松井監督」へと昇華させました。
アメリカの現場で「究極のリーダーシップ」を試されたのです。
日本の男社会ならではの過去で人を判断する「これまで誰と何をしてきたの?」「有名か無名かどうか?」「年はいくつ?」などではない、まして「男か、女か」なんかではない。
アメリカの俳優や現場スタッフにとっての関心事は、「あなたは、何がしたいのか?」「どんなビジョンをもっているのか?」それを実現するために「あなたは妥協せず(←ココ重要)に戦っているか」という点。
つまり、「ヒサコは私たちがついていくに値する信頼できるリーダーかどうか」という部分だったです。
この試練を越えて実現したのが監督第1作品の「ユキエ」です。

アメリカでの監督経験を通して、
「究極のリーダーシップ」
(1)実現したい明確なビジョン
(2)ぶれない一貫性
(3)すべての責任をとる覚悟

を習得したことが、その後の監督人生を切り開いのです。

141108a企画立案、資金調達をするプロデュース、実力派俳優と作品をつくる映画監督の2役をこなし、日本映画産業(男ルール)ではない、アウトローな手法で第2作「折り梅」、第3作「レオニー」を高いクオリティで実現しています。
中途半端に妥協しない、時代に迎合しない、究極のリーダーシップによる「実現したい明確なビジョン」がファン、支援者に伝播し有機的に巻き込んでいるのは、まさに松井久子流です。宝塚の男役のようであり、それでいてチャーミングな部分も松井さんの大きな魅力です。カッコイイは男女関係なくいいですね。

【インフォメーション】
11月15日(土)
映画「折り梅」上映と監督トークの集いが本所プラザBIG SHIP ホール(墨田区)であります。
午前の部 10:30~12:50
午後の部 14:00~16:20
・イベント詳細:
http://www.essen.co.jp/cn9/kouen.html

・映画「折り梅」:
http://movies.yahoo.co.jp/movie/折り梅/234862/

レポート:幹事 筒井一郎