倫理の良さを伝えたい

埼玉県倫理法人会の後継者倫理塾長である小池博講師は、渋沢栄一の出身地として有名な深谷市の生まれです。祖父の代から農家さん向けに飼料や苗、農機具などの販売、さらに直売所で農作物の販売をされています。
倫理法人会には平成16年8月に入会され、今年で15年目を迎えることになりました。
入会後は副専任幹事、専任幹事、単会会長、県副幹事長、県幹事長と、「普及畑」を通ってきたので、数字が頭から離れないとのことでした。それだけに、後継者倫理塾長の声が上がり、最初はようやく数字から開放されると考えたそうです。ところが、塾生を集めるために会員に塾の良さを伝え、外で知り合った未会員だけれども塾に適した方がいた場合には倫理の良さを伝えるという、これまでの普及活動と何も変わっていないことに後から気がついたということです。

そもそも普及の目的とは、人に倫理の良さを伝えることで倫理という太い柱を自分の中に立てることだと小池講師は言います。ですから、これまでずっと普及畑でやってきて現在も後継者倫理塾長をやる中での普及活動こそが塾長を引き受けた理由の一つになっているということでした。
さらに、倫理は学ぶだけでなく、実践して家庭や職場を良くしていくというものですから、後継者倫理塾を通して人財育成について学び、それを職場の社員さんに生かすことができるとも考えました。実際にやってみると、以前は社員さんを近くから見ることしかできなかったのが、「大所高所」から社員さんを見ることができ、指導の幅が広がったということでした。
そして塾長を引き受けた3つ目の理由は、自分のこれまでの倫理体験を多くの人に味わってもらい、倫理の良さを実感してもらいたかったからです。具体的には「自己革新」と「感謝力」を体験を通して味わってもらおうと取り組んできたということでした。

良し悪しは勝手な基準

自己革新については、森信三が提唱した職場再建の三原則「時を守り、場を清め、礼を正す」を通して気づきの力を身に着けてもらいたいと考えました。
感謝力については、今ここに自分がいることの有り難さを感じられるようになってもらいたいからです。そのために「本を知る」ということを体験してもらいます。一つは自分の家系を調べて知ること、もう一つは会社の歴史を知ることです。さらに、日本の本を知るために伊勢神宮へ参ります。そして当然倫理法人会の歴史についても学びます。

小池講師が塾生に感謝力を持ってもらおうとするのは過去の自分の体験があったからこそだということです。
それは8年前の出来事からでした。今年もそうでしたが、8年前も大変な猛暑で、その時は9月に入っても暑さが続いたことで、収穫された米の出来が良くありませんでした。当時はまだ直売所が無く、米問屋さんに卸していたのですが買って貰えそうにないものだったのです。
農家さんから買い上げる時は入荷後1週間以内に代金を支払うようにしていたので、売れそうにない米の代金だけを支払うと大変な損害になります。
悩んだ小池講師は倫理指導を受けることにしました。そこで小池講師は問われました、「小池さん、お米に感謝してますか? 暑い夏を乗り越えてくれたお米を管理してくれた農家さんに感謝してますか?」と。
その時の小池講師はできの悪い米を抱えて自分のこと、自分の商売のことしか考えていない、まったく感謝していない自分に気づきました。さらにこうも言われました「出来る限り農家さんに支払ってあげてください。感謝をし誠意ある対応をしていれば必ず買ってくれるところが現れます」。
指導を受けて反省をした小池講師は、次の日の朝礼で社員全員にそのことを話し、感謝が欠けていたことに気づいたので改めて農家さんに感謝してキチンと代金を支払うよう指示をしました。
するとその僅か2時間後に、長年取引のある東京の問屋さんが「今年も小池さんから買います」という連絡を受け取りました。
感謝力を持ってもらうためにこの経験談を塾生に伝えてきた小池講師は、教えることを通してさらにこの体験が「塾生や自分の会社の社員さんに置き換えたら、果たしてどうだろうか」と学びがさらに昇華されたそうです。出来の良い人、稼いでくれる社員さんだけを大事にしてはいないか。
自分勝手な基準で誰が良いとか悪いとかいうのではなく、すべてを受け入れて感謝することが大事だということに気づきました。

子供から尊敬されたいなら

小池講師は大学卒業後、別の会社で1年間働いてから祖父が創業し父親が二代目として経営している現在の会社に入りました。
入社当初は社長である父親とうまくいきませんでした。高圧的で全てにおいて否定的な言動についていけなかったのです。
その後倫理法人会に入会した小池講師は、ある時のイブニングセミナー後の懇親会の席で講話に来ていた先生に父親の愚痴を話しました。すると先生から倫理指導を勧められ、東京まで出向いて指導を受けに行くことにしました。すると、その場で言われたことは意外なことでした。
「あなたは息子さんから尊敬されていますか?」
父親を尊敬していない自分を子供は見て育つのだから、子供が自分を尊敬することはない。
この指導を受けたすぐ後に富士研(富士高原研修所)のセミナーに参加した小池講師は、ある実習の中で父親に対する思いが溢れ涙が止まりませんでした。
その後、手帳に父親の良いところを書くということと挨拶をすることを実践として取り組みました。自分で書く分には問題なくできるので、この実践を通して父親のことをよく見るようになり、良いところにたくさん気づくことができました。
でも、挨拶は中々うまくいきませんでした。その年の4月に始めて、挨拶が返ってくるようになったのは翌年の1月でした。それでも倫理の教えの通りだと実感したは、実践を始めた時がちょうど息子さんが高校受験で頑張っている時でしたが、父親から挨拶の返事がもらえるようになった頃、入学試験に合格したという知らせを受け取りました。
その後父親との関係は良好なものとなり、「職場の教養」の表紙を親子で飾るほどになりました。80歳を迎えようとする父親は以前の面影はなく、老いたその姿を見ると寂しさを感じると小池講師は言います。一方で、息子さんは現在別の会社に勤めているのですが、跡を継いでもらいたいという思いは伝えています。

塾長として学んだこと

小池講師は後継者倫理塾長をしながら自分でもたくさんのことを学んだと言います。
人財育成において大事なことは「信じること」「待つこと」。成長のスピードは人それぞれなので、伸び悩む人であってもその人の可能性を信じて、その時が来るのを待つことが大事だということでした。
また、塾の運営を通して学んだこととして、長(リーダー)がやるべき大切なことは「目的を明確にすること」「方針を明示すること」「適切な目標を提示すること」。この3つをちゃんと決めて取り組むだけで皆が一つになれるということを実感したということでした。
そして、地域から頼られる存在になることが小池講師の使命だと考えるようになり、社員さんだけでなく社外の人からも尊敬されるような会社になるというビジョンも見えてきました。

今回が東京での初めての講話だった小池講師ですが、倫理の良さと学びをとても明るく楽しく知ることができました。

【講師プロフィール】
小池 博
埼玉県倫理法人会 後継者倫理塾長
昭和38年2月18日生まれ
平成16年8月 深谷市倫理法人会入会
平成17年9月 深谷市倫理法人会副専任幹事拝命
平成18年9月 深谷市倫理法人会専任幹事拝命
平成20年9月 深谷市倫理法人会副会長拝命
平成21年9月 深谷市倫理法人会会長拝命、法人レクチャラー拝命
平成22年9月 埼玉県倫理法人会副幹事長拝命
平成24年9月 埼玉県倫理法人会幹事長拝命
平成27年9月 埼玉県倫理法人会副会長拝命、倫理経営インストラクター拝命
平成29年9月 埼玉県倫理法人会後継者倫理塾塾長拝、倫理17000ライセンス取得
会社の紹介「苗づくり 土づくり 人づくり」(沿革)
昭和21年3月2日  祖父 故小池勝次郎が兄から独立、開業
昭和31年12月27日 有限会社小池勝次郎商店設立
昭和32年3月    父 登(現会長)高校卒業後 入社
昭和61年7月    博(現社長)入社
平成14年2月    農家の専門店「こいけや」オープン
平成15年5月~8月 早朝6:30より開店(夏時間の設定)
平成16年     株式会社に変更
平成17年1月    店舗の敷地を拡大 1000坪へ
平成19年1月26日  会社創立50周年式典開催 代表取締役社長に就任
平成21年2月18日  ㈱深谷ねぎニラ研究所設立
平成23年5月10日  農産物直売所「とんとん市場深谷店」オープン
平成28年4月17日  農産物直売所「とんとん位置川本店」オープン
平成29年12月1日  創業70周年感謝の会 開催